口腔ケアについて

口腔ケアについて

口腔ケアとは歯科医師の指導のもと、歯科衛生士が行う、お口の中のケアです。
口腔清掃だけでなく感染症予防、口腔機能や全身の健康維持・回復、日常生活動作・生活の質の向上を目的に行います。
要介護認定を受ける高齢者の数が急増している日本。しかし高齢者の歯科医療については、70代後半から急激に受診率が減少していると言われています。年を取り、十分に体を動かせなくなると、歯科医院の来院を後回しにしてしまう方もいらっしゃいます。しかし、口腔ケアが不十分な状態が続くと、虫歯や歯周病が進行したり、全身に悪影響を及ぼしたり、日常生活の動作にトラブルが生じてしまうのです。そこで当院では歯科医師の指導のもと、歯科衛生士がお口の中のケアを担当いたします。虫歯や歯周病などのお口の病気を予防し、全身の健康維持のサポートを行っていきます。

健康寿命を延ばすために効果的な口腔ケア

日本は平均寿命が先進国の中でもトップクラスです。その理由として、日々の食生活、健康情報へのアクセスのしやすさ、整った医療制度などさまざまな要因が挙げられます。
しかし、自宅や病院で介護状態になっている方も多いなど、健康に長生きしているかどうかの指標だと話は別です。これからの時代は長く健康に暮らすための取り組みが必要になってきます。そのための鍵が歯科医療です。口腔内を清潔な状態に保ち、残っている歯が多い方は要介護のリスクが下がるといった研究結果が報告されています。

平均寿命と
健康寿命の違い

2018年厚生労働省の発表したデータによると、男性の平均寿命は81.25歳、女性の平均寿命は87.32歳です。しかし、健康寿命に関しては男性が72.14歳、女性が74.79歳となりました。
健康寿命は、日常的な介護を受けず、心身ともに健康で自立した生活が送られる期間を指します。平均寿命と健康寿命は約10年の開きがあります。
つまり、今の日本の課題は長生きしつつ、健康でいられる期間も長くすることです。少しでも健康寿命を延ばすことができれば、年をとっても、よりイキイキとした生活を送れる可能性が高まります。

噛むことの重要性

噛むことは健康な日常生活を送るために必要です。食べ物を咀嚼するのはもちろんですが、噛んだ際には唾液の分泌が促され、汚れや細菌を洗い流すことで、口腔内を健康に保つ作用があります。また、脳や体へと刺激が伝わり、運動機能の向上や認知症予防にも結びつきます。

  • 虫歯・歯周病予防
  • 口臭予防
  • 骨粗しょう症予防
  • 姿勢の改善
  • ボケ防止
  • 消化器官の負担軽減
  • 食欲増進
  • 肥満予防
  • 糖尿病予防

口腔ケアが不十分な場合におこるトラブル

  • 誤嚥性肺炎

    舌や喉の筋肉が衰えると、誤って食べ物が気管に入ってしまった際に排出するための反射機能が十分に働きません。 もしお口の中が細菌だらけだと、食べ物と一緒に肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こしてしまう恐れがあるのです。

  • 脳の活動の低下

    食べ物を口に入れて咀嚼し、嚥下した際には咀嚼筋、舌筋、口蓋筋、舌骨筋群などさまざまな筋肉を活用します。筋肉は神経を通して脳と繋がっているので、噛む回数が減少すると認知症のリスクが高まると言われています。

  • 食事が楽しめない

    嚥下障害になると、上手に食べ物を飲み込めません。食べられる食事に制限がつくので、日々の楽しみが減ってしまいます。また栄養面も不十分になることがあり、体へも悪影響を及ぼします。

嚥下障害とは

嚥下障害は正式には摂食・嚥下障害ともいい、食べられない、飲み込めない状態全般を指します。
具体的には「柔らかいものしか食べられなくなった」「食事の際にむせることが増えた」「食事の時間が長い」「食後疲れることが増えた」「食べ物をポロポロ落としてしまう」「食事の際に喉に違和感がある」などの症状が代表的です。嚥下障害が起こると、体重が減ったり、低栄養や脱水を引き起こしたり、飲み込んだものが気管に入ったり、さまざまなトラブルを引き起こすため早急に対応する必要があります。

嚥下障害の症状

  • 食事中にむせる

    特にむせやすいのは、味噌汁やお茶などの水分、または水分と固形物の入り混じった食べ物です。むせるのを避けようと水分を多く含むものをあまり摂らなくくなると、脱水につながります。飲食物だけでなく、自身の唾液でも咳き込む場合があります。

  • 固形物を噛めない

    硬い食べ物はよく噛まないと飲み込めないため、麺類などの柔らかいものや、噛まずに食べられるものを好むようになります。その結果栄養が偏り、低栄養につながります。

  • 食事中に疲れる

    時間をかけてよく咀嚼しなければ飲み込めなかったり、飲み込んでも口腔内に食べ物が残ったりするため、食事に時間がかかるようになります。食べられるものも制限されるため、食事自体の楽しみが奪われ、食べる意欲の低下につながります。

  • 体重が減る

    食べる量が減る上、食事の内容が偏るため、低栄養状態になって体調を崩しやすくなり、体重が落ちていきます。

嚥下障害が引き起こす誤嚥性肺炎とは

現在高齢者の死亡原因として大きな割合を占めるのが「誤嚥性肺炎」です。通常、唾液や食べ物などを飲み込むときは気管につながる部分は閉じています。しかし、さまざまな要因で嚥下障害が生じていると、唾液や食べ物と一緒にお口の細菌が気管に入ってしまうことがあるのです。そして、気管を通って肺に炎症を起こすことがあります。これを誤嚥性肺炎と呼びます。嚥下障害があると誤嚥が繰り返されて、誤嚥性肺炎にかかるリスクが高まってしまうので、嚥下障害の兆候を見逃さず、早めに対応する必要があります。

がん治療中の歯科治療について

がん診療連携登録歯科医とは厚生労働省の委託を受けて日本歯科医師会が主催する「全国共通がん医科歯科連携講習会」を修了し、がん患者へお口のケアや歯科治療についての知識を習得した歯科医師のことです。治療前、治療中、治療後のがん患者に診療状況に応じた的確な歯科治療は「がん診療連携登録歯科医」にしか治療できません。
当院の院長は西淀川区で最初に登録認定された歯科医師です。

がん治療を行う前の歯科治療が大事です。

健康体では影響が少ない細菌類も、がん治療により弱った身体には大変な影響を及ぼす恐れがあります。
特に口腔内には細菌が多く潜んでおり、歯周病に罹患している場合などはまさに細菌の温床になっています。
がん診療を行っている医療機関ときちんと連携し、患者個々に応じた細やかな歯科治療が求められるわけです。

予後の経過を順調にするために

的確な歯科治療は、がん治療を受けた患者の回復を促します。弱った身体には十分な栄養が必要となりますが、口腔内にトラブルを抱えている場合などはがん治療後の食事もままなりません。

がん治療に発生しやすいトラブルは「口内炎」

抗がん剤治療や放射線治療で起きるお口のトラブルの多くに「口内炎」があげられます。
特に抗がん剤の影響で免疫力が落ちた身体にとって、口内炎は厄介な存在です。炎症から侵入した細菌は、撃退されることもなくそのまま、血液に乗り全身をめぐります。それは全身で様々な合併症や感染症を引き起こす原因となり、臓器不全、障害などの深刻な結果をもたらすことになります。

がん治療中の口腔ケアについて

がん治療中に起こりえる口腔内トラブルも、治療前後の歯科治療および口腔ケアを的確に処置さえすれば、合併症の原因である口腔内での細菌の増殖を抑えられます。結果、口内炎といった症状の軽減や合併症の予防につながり、がん治療を予定通りに進めることができます。
がん治療を受けなければならなくなった状況に陥った際、可能な限り治療前に「がん診療連携登録歯科医」がいる当院で歯科健診、口腔ケアの処置を受けてください。
一旦、がん治療が始まると抵抗力が下がり、十分な歯科治療を行えない場合も起こりえます。

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